テレワークとリモートワークの違い、メリットや導入を簡単に説明

2022-04-27
Remote working

コロナ禍で、日常会話の中でリモートワークやテレワークといった言葉が当たり前のように使われるようになりました。

厚生労働省が働き方改革推進支援助成金の中で「テレワークコース」を用意したこともあり(現在は募集を終了)、それをきっかけに導入する企業も増えています。

「弊社でもリモートワークができたらいいのに」という方、または「リモートワークしても良いといわれているけど、どうしていいかわからないから結局会社に行っている」という方にとって、そのやり方は気になるところでしょう。

ここではリモートワークの定義、メリットやデメリット、導入に必要なシステムの基礎知識をひも解いていきます。


リモートワークとは?

リモートワークとは、Remote(遠隔)とWork(働く)を組み合わせた造語で、オフィスなど決められた場所から離れた環境で働く勤務形態のことを指します。

リモートワークと聞いて思い浮かべるイメージとしては、自宅の書斎や近所のカフェなどでパソコンを開いて、ときどきオンラインで会議をしてるという感じではないでしょうか。特に明確な定義があるわけではありませんが、「出社せずに自分の家で仕事をする」というニュアンスで使われる場面が多くみられます。

もともとフリーランスだった人や自営業を営んでいる人が「リモートワークしている」ということがないことからも、「在宅勤務」の意味合いで使われることが多いようです。

Remote work meeting

テレワークとは?

リモートワーク以外にメディアを通じてよく耳にする言葉としてテレワークがあります。

厚生労働省の「テレワーク総合ポータルサイト」によれば、「テレワーク」とはtele(遠隔地)とwork(働く)を掛け合わせた造語で、ICT(情報通信技術)を活用した場所や時間にとらわれない働き方のことをさします。

雇用型と自営型の定義があり、雇用型は従業員が自宅で仕事を行う「在宅勤務」、特に場所を決めずカフェなど自由な場所で作業する「モバイルワーク」、自社所有のサテライトオフィスやレンタルオフィス、シェアオフィスなどを活用する「サテライトオフィス勤務」に分類されているのが特徴です。

リゾート地などバケーションが楽しめる場所で働く「ワーク+バケーション」から生まれた「ワーケーション」などもテレワークのスタイルの1つと考えられています。

ちなみに、テレワークという働き方そのものは、1970年代のアメリカ・ロサンゼルスが発祥といわれています。2度に渡る石油危機と大気汚染が社会問題となり、その解消のために自宅で仕事をするようになったのが始まりとされています。

日本では1984年、結婚や出産で離職を余儀なくされていた女性を対象にしたNECの吉祥寺への「サテライトオフィスの設置」がはじまりです。

preformatted形態概要雇用型企業などの組織に雇用されている従業員が対象在宅勤務従業員が自身の自宅で仕事を行う働き方モバイルワーク取引先のオフィスやカフェ、移動中の交通機関の中などで仕事をする働き方。場所は特に決まっていない。サテライトオフィス勤務会社が保有するサテライトオフィスやレンタルオフィス、シェアオフィスなど、仕事をする目的で用意された施設で仕事を行う働き方。ワーケーションワーク+バケーションの造語。リゾートなどバケーションも楽しめる地域でテレワークを行うこと。ビジネスの前後に出張先などで休暇を楽しむ「ブレジャー」も含む。※ブレジャー=ビジネス+レジャー「新たな旅のスタイル」ワーケーション&ブレジャー|観光庁)自営型フリーランスや個人事業主などが対象の労働形態。自宅で作業する場合があるほか、独自にオフィスを構えたり、コワーキングスペースを利用するケースがある。かつてはSOHO(Small Office Home Office)とも呼ばれていた。preformatted

テレワークとリモートワークの違い

リモートワークに特に明確な定義がないのに比べ、テレワークはポータルサイトに定義があることが大きな違いです。

テレワークはどんな人がどこで作業するかによって言い方に違いがあるのに対して、リモートワークは「オフィス外で作業する」という点で、それらを包括した表現として使われています。オフィス以外の環境で、ICTを活用しながら仕事をする柔軟な働き方として共通しているため、実際のところ、その意味に大きな違いはないと考えていいでしょう。

preformattedテレワークリモートワーク意味・由来tele(遠隔地)とwork(働く)を掛け合わせた造語で、「ICT(情報通信技術)を活用した場所や時間にとらわれない働き方」のこと。参照:テレワークとは | テレワーク総合ポータルサイト(厚生労働省)remote(遠隔)とwork(働く)を組み合わせた造語であり、オフィスから離れた遠隔地で働く勤務形態。発生時期1970年代のアメリカが発祥。日本では1984年のNECのサテライトオフィスが始まりと言われている。近年。IT企業やベンチャー企業を中心に使われ始めた。概要<雇用型>在宅勤務:従業員が自宅で働く労働形態モバイル勤務:モバイル端末を使って、飲食店や他の施設といったオフィスの外や、移動中の交通機関の中で働く労働形態サテライトオフィス勤務:サテライトオフィスやコワーキングスペースでの労働形態特に明確な定義はない。以前から「ノマド」などの言葉はあった。※ノマド:フランス語で遊牧民を意味する。自分の好きな場所で働きながら暮らすライフスタイル、働き方。<自営型>フリーランス、個人事業主が自宅または自宅外で作業する働き方。似た言葉に「在宅ワーク」がある。自営型は以前からSOHO(Small Office Home Officeの略)と呼ばれていた共通点ワーク+バケーションの造語。リゾートなどバケーションも楽しめる地域でテレワークを行うこと。ビジネスの前後に出張先などで休暇を楽しむ「ブレジャー」も含む。※ブレジャー=ビジネス+レジャー「新たな旅のスタイル」ワーケーション&ブレジャー|観光庁)自営型・オフィス以外の場所で仕事をするスタイルを指している。・ICT(情報通信技術)を活用している。preformatted

Remote work optimization


リモートワーク・テレワークを実施するメリット・デメリット

ここでは企業と雇用される側のそれぞれの立場でリモートワークのメリット、デメリットをみていきましょう。

リモートワーク・テレワークの企業側のメリット

まずリモートワークを導入する企業側のメリットは、大きくわけて3つ挙げられます。

1:コスト削減

オフィスまでの従業員の交通費が不要になるだけでなく、光熱費も削減できます。リモートワークを完全に導入済みの場合は、オフィススペース自体が不要になるため、必要最小限まで縮小することができ、家賃負担も大幅に低減できます。

2:優秀な人材の確保

能力があるにも関わらず、諸事情により通勤やフルタイム勤務が難しいというケースは少なくありません。リモートワークならこのような状況でも就業の機会が確保でき、企業側としてもそのような人材を確保・定着させることができます。

3:災害時のリスク分散

オフィスを1ヶ所に限定しないことで、災害時の人や通信環境などのリスクを分散できることです。さまざまな場所で柔軟に作業できる環境、スキルをつけておくことで、いざというときも柔軟に対応することが可能になります。

リモートワーク・テレワークの従業員側のメリット

従業員側のメリットも大きく3つ挙げられます。

1:ワークライフバランスの改善

通勤がなくなることで、通勤・帰宅ラッシュが避けられるだけでなく、睡眠時間を確保しやすくなります。オフィスでの人間関係の悩みも緩和できる可能性があるため、さまざまなストレスがの軽減が期待できます。

また、通院や役所など、従来なら休みをとらなくては対応できなかったようなことにも時間を使えるようになるほか、スキルアップのための時間も生まれます。副業が許可されている場合は、新たな収入の柱を生み出すことも可能です。

2:業務におけるパフォーマンスの向上

睡眠時間の確保が仕事のパフォーマンス向上に作用することは確実です。リモートワークはリフレッシュ時間もとりやすくなるため、仕事への意欲が向上する可能性があります。また、来客や電話応対がなくなるため、作業に集中しやすくなります。

3:介護・育児・疾病時の療養との両立

人生には春夏秋冬がありますが、いかなる状況でもキャリアを継続できることは、経済面でも大きなアドバンテージになります。

リモートワーク・テレワークのデメリット

リモートワークにもデメリットはあります。

企業側のデメリット

企業側の懸念の1つは、情報漏洩を含むデータのセキュリティの問題です。扱っている情報によっては、リモートワークができないケースもあります。

勤務の実態が把握しにくくなるため、勤怠管理には工夫が必要です。特に電子化(ペーパーレス)が進んでいない企業では、経費管理をはじめとした決裁や承認フローの見直しは避けられません。

従業員側のデメリット

従業員側のデメリットとしては、人によっては静かに働ける場所の確保が難しくなることや、インフラとして十分な速度の回線が確保できないケースがあげられます。パソコンをはじめとした電子機器やICT関連に弱い場合、対面で周囲に助けを求めることも難しくなります。また、意識的にコミュニケーションをとらないと孤独感を感じやすくなることもあるでしょう。

何より「自己管理能力」が求められます。公私の切り分けが難しくなるため、時間管理は必須です。さらに通勤が不要になることで運動不足になることもあるため、定期的に運動する時間を設けるなど、健康面での対策も必要になります。

ちなみに、リモートワークのためのカフェ代やコーヒー代が従業員の負担になることもあります。クラウドキャストでは、在宅勤務中の従業員のコーヒー代を補助する「コーヒー予算」を導入しています。

remote work systems


リモートワーク・テレワークのするにはどんなシステムが必要?

総務省の令和2年 通信利用動向調査報告書(企業編)では、リモートワークを導入していない企業で、導入を考えていない企業の理由として最も多いのは「適した仕事がないから」(78.2%)。続いてあげられている理由は「業務の進行が難しいから」(33.2%)、「情報漏えいが心配だから」(18.9%)、「文書の電子化が進んでいないから」(16.7%)となっており、リモートワークにおける企業側のデメリットで懸念されることが、そのまま導入を阻む壁になっています。

リモートワークの導入にあたっては、企業側における適切なICT教育やセキュリティ対策、勤怠管理システムの見直し、ペーパーレス化、タスク管理システムやコミュニケーションツールの導入が必須です。それぞれのポイントを見ていきましょう。

セキュリティシステム

通常、企業の情報資産にはさまざまな情報漏洩対策がほどこされています。しかしリモートワークの場合、ウイルス対策ソフト未導入の個人の情報端末を外部のWi-Fi上で扱うことも考えられるため、マルウェアの脅威だけでなく、盗難、紛失、通信内容の盗聴、不正アクセスといった問題が起こりやすくなります。

「総務省 テレワークセキュリティガイドライン第4版」を参考に、セキュリティガイドラインを作成するなど、明確な運用ルールの設定をはじめとして、ICT機器のウイルス対策、ネットワーク環境や認証システムの整備などを行いましょう。

勤怠管理システム

リモートワークの場合、管理者は遠隔で従業員の勤務実態を管理しなければなりません。

そこで役立つのはクラウド型の勤怠管理システムです。従業員一人当たり月額数百円で導入可能なものが多く、従業員の勤務時間(始業時刻・終業時刻・休憩等)をスマートフォンから1タップで記録できるようになるほか、給与計算ソフトと連携するものもあるなど機能は豊富です。

すでにリモートワークを導入済みの企業の中には、チャットツール上で始業時刻と終業時刻を報告するだけという企業もあれば、毎日オンラインで朝礼を行い、前日の作業内容と当日の作業予定を報告しているという企業もあります。

評価制度や管理者側がどこまで管理・監督したいかによって異なりますので、ニーズにあわせて探してみるといいでしょう。

ペーパーレス化

紙とハンコがメインの申請や承認業務が多く、特に書類のやりとりはFAXや郵送がメインというところほど、リモートワークができない従業員を生み出しているはずです。

オンライン化やペーパーレス化が必須ですが、これらを進めるにはネットワークやクラウドサービス、セキュリティシステムの活用が前提です。関係部署の管理職ならびに従業員の理解を得ることを第一に、デジタル化できるところから1歩ずつ進めてみましょう。

たとえば、経費精算。現在毎月月末になると交通費などの経費精算のために、領収書の束を申請書に糊付けして提出しなければならず、そのため出社を迫られていませんか。

現在は経費管理も、いいかつペーパーレスになるクラウド型のサービス「Staple」があります。申請も振り込みも決済もすべてスマートフォン上でできるだけでなく、VISA加盟店で利用でき、利用が可視化できるプリペイド型のカードも発行できるので、まさにリモートワークを導入する企業には最適です。

このようにシステムをアウトソーシングすれば、自社でゼロからシステムを構築するよりも、スピーディかつ安価にペーパーレス対応することができます。

コミュニケーションツール

リモートワークでは人間関係のストレスを減らせるメリットがある反面、意識的にコミュニケーションを図らない限り、孤独感を感じる原因にもなります。

顔をあわせていれば表情や態度で理解できたことも、テキスト上では把握しづらくなり、意思疎通に問題が生じるというデメリットもあります。

社内用のSNSを用意するなど、積極的に交流できる環境づくりも必要です。特に顔を見ながら話せる場づくりを意識したいところです。

ビジネスと交流の場としてマイクロソフト社のリモート ワーク - コラボレーション ツール「Microsoft Teams」が有名です。「Staple」はMicrosoft Teamsから経費の承認や申請ができるため、経費管理システムを手軽にオンライン化、ペーパーレス化できるだけでなく、迅速なやりとりが可能になります。

ちなみに、コミュニケーションツールやマナー、価値観は年代によって異なるのが現状です。ツールの導入に際しては、コミュニケーションのルールも忘れずに設定しておきましょう。

リモートワーク用の便利グッズ

これからリモートワークを始める、またはリモートワークがより快適になるグッズをご紹介しましょう。

まず、オンライン会議で欠かせないのは、Webカメラ、ヘッドセット。画面上での見え方も身だしなみの1つと考えられる方なら、リングライトもプラスしたいところです。

Webカメラが内蔵されたパソコンでも、画質の向上を図りたい方や、写せる角度を変えたい方は別途購入することをおすすめします。

ヘッドセットはワイヤレスイヤホンやヘッドホンでもいいですが、接続に問題が生じることもあるので、有線のヘッドセットは持っておきましょう。

健康面をサポートするグッズとしては、パソコンスタンド、活動量や睡眠の状態がわかるスマートウォッチ、卓上加湿器、マッサージ器がおすすめです。

ノートパソコンは前屈みになりやすく、首も前傾するため、肩こりや腰痛の原因になります。できるだけ背筋が伸びるようパソコンスタンドを活用しましょう。

自分の活動量を可視化できるスマートウォッチは、在宅勤務における運動不足解消に最適です。最近では座りっぱなしを防ぐために、定期的に立ち上がるよう促す機能も標準的についています。

remote work accessories


まとめ

総務省の令和2年「通信利用動向調査」によれば、平成29年から30年にかけて「テレワーク」を導入した企業は大幅に増加しました。その後コロナウイルスの影響でさらに激的に加速。「導入している」企業と今後導入予定の企業とあわせると全体の58.0%となり、前年の29.5%から大幅に上昇しました。導入形態を見ると、最も多いのは「在宅勤務」で87.4%。次いで、「モバイルワーク」が33.4%、「サテライトオフィス勤務が10.7%となっています。

リモートワークのメリットの1つとして、人材の確保・定着を挙げました。少子高齢化で労働力・人材不足が叫ばれている背景も考えれば、現在リモートワークの導入に消極的な企業も、いずれは優秀な人材確保のために導入を迫られることが考えられます。

いきなりフルリモートにするのではなく、出社とリモートワークを組み合わせたハイブリッド型のワークから段階的にシフトしてもいいかもしれません。まだというところは、できることからはじめてみてはいかがでしょうか。

クラウド型の経費管理システム「Staple」があれば、従業員がどこで働いていてもコミュニケーションを維持しながら、ペーパーレスで経費の申請や精算を行うことができます。これからリモートワークを導入したい、リモートワークを推進しながらもっと業務をスムーズに進めたいという方はぜひご検討ください。