インターネットのサービスを利用していると、「クラウド」という言葉を一度は見たり聞いたりしたことがある方は多いと思います。特に新型コロナウイルスの感染拡大以後、テレワーク(リモートワーク)の普及とともに、触れる頻度が上がったのではないでしょうか。
そもそも「クラウド」とはなんでしょうか。
ここでは「クラウド」とは何か、身近にあるサービスを例にご紹介するとともに、「クラウドサービス」のメリットやデメリットを解説します。
クラウドとは何か?
インターネットのサービスを説明する図の中で、ふわふわした雲の絵が使われているのを見た事はないでしょうか。「クラウド」とは、英語では雲(cloud)を意味します。コンピュータ業界でのクラウドとはクラウド・コンピューティングの略で、2006年、当時のGoogle社のCEOであるエリック・シュミット氏が使ったことがはじめとされています。
クラウド・コンピューティングとは、インターネット上の、実際にはインターネットに接続されたどこかの会社やデータセンターにあるサーバー内のストレージやアプリケーションなどを共有化して、インターネットに接続した人が利用可能にしたモデルのことです。
クラウドサービスとは何か?
このクラウド・コンピューティングを使って提供されるインターネット上のさまざまなサービスを「クラウドサービス」と呼び、そのシステムのことを「クラウドシステム」と呼んでいます。
このクラウドサービスは、主にインターネット経由でソフトウェアパッケージを利用可能にするSaaS(Software as a Service)、インターネット経由でSaaSを開発したり運用できる環境を提供するPaaS(Platform as a Service)、インターネット経由でハードウェアやICTインフラを提供するIaaS(Infrastructure as a Service)の3つの形態で提供されています。
身近にあるクラウドサービスの例
まだインターネットがどこでも高速に利用できる時代ではなかった頃は、パソコンで何か新しいことを使いたいときは、専用のソフトウェアが入ったCDやDVDを購入して、インストールして使う必要がありました。
クラウドサービス化が進んでいる今は、インターネットにアクセスできるパソコンやスマートフォンがあれば、ウェブページを見るためのアプリであるGoogle ChromeやInternet Exploreといったウェブブラウザを使って、いつでも好きなときに使い始めることができます。有料の場合でも、オンラインで決済できるので、待つことなくすぐに使用することができます。
例えば電子メールを考えてみましょう。昔は電子メールの送受信ができるソフトウェアの入ったCDなどを購入し、それを直接パソコンにインストールしてから利用していました。当然インストールに関する知識が必要でしたし、電子メールを送受信するための設定も必要でした。
現在はGmailやYahoo!メール、Hotmail、iCloudメールなど無料のサービスが登場しており、ウェブブラウザを使って専用のページにアクセスすれば利用することができます。
他にも写真や画像、動画、ドキュメントなど、様々なファイル、データの保存がインターネット上でできるDropboxやiCloud、MicrosoftのOneDrive、Google Drive、Googleフォトなどがあります。オンライン上の「○○ドライブ」というサービスであれば、クラウドサービスといえるでしょう。
メモやドキュメントが保存できるサービスとして、Googleドキュメントやスプレッドシート、Google Keep、Evernote、iCloudのメモ機能、Microsoft OneNoteなどがお馴染みです。
このほかにも、名刺や年賀状がオンラインで作れるサービスや、Microsoft TeamsやZoomなどのウェブ会議サービスもクラウドサービスの1つといえます。
これらのサービスに共通するのは、パソコンやスマートフォンなどの情報通信端末と、ウェブブラウザなどの簡単なアプリさえあれば、すべてインターネットに接続して利用できることが挙げられます。それらがどこにあるかユーザーはまったく意識することはありませんし、設定をはじめ、機能のアップデートを考える必要もありません。
クラウドサービスが普及した背景
2010年になって第4世代移動通信システム(4G)の商用提供がスタートし、スマートフォンなどのモバイル端末からインターネットを利用する人がパソコンからの接続者数を超えました。
その後も通信速度は上がり、2014年以降になると、インターネット経由で動画の視聴をはじめとした大容量のデータのやりとりも、ストレスなくスムーズにできるようになりました。
このように通信スピードが格段に向上し、情報通信端末も進化、誰もがスマートフォンを手にするようになっていく中で、様々な事情でシステムやデータの消失を経験し、さらに最近では新型コロナウイルスという問題による働き方の改革も余儀なくされるという背景があり、クラウドサービスに注目が集まるようになったのです。
クラウドサービスを利用するメリット
<個人の場合>
個人でクラウドサービスを利用するメリットとしては、以下の4点が挙げられます。
特にありがたいのは、データ管理面でしょう。
大抵のクラウドサービスは、ユーザー登録をすることで、クラウド上(インターネットに接続されたサーバー内)にデータを保存します。そのため手元のパソコンやスマートフォンが壊れたり紛失しても、再びサービスにログインすればデータを読み込むことができます。
保存先のデータ管理はサービス事業者が行いますので、ユーザーが行うことはありません。以前は「ハードディスクが壊れてしまったので、大切なデータが消えてしまった」というトラブルがありましたが、今はクラウドのお陰でその心配はありません。
<企業の場合>
企業がクラウドサービスを利用する場合も、以下のようなメリットがあります。
システム開発がいらない
手軽に導入できる(お試しが簡単)
利用場所や利用端末を限定されない
管理コストを軽減できる
ニーズに応じたコースを選択できる
労働生産性が向上する
システム開発がいらない
クラウド登場以前の業務用システムは、自社にシステムを所有する必要がありました。そのため、導入には専門知識を持った担当者、管理者の存在が不可欠で、システム導入の際にはハードウェアの選定を含めたシステム全体の開発、そして管理が求められました。
当然開発期間が必要になるので、実際に利用できるようになるまでにコストと時間もかかりました。しかし、お金と時間をかけて開発・導入したにもかかわらず、結果的に十分機能せずに無駄になってしまうというリスクもありました。
その点、クラウドサービスはすでに用意されたシステムをネットワーク経由で利用するだけです。機能は常にサービス提供側で最新の状態が保たれ、セキュリティ管理もすべてサービス事業者が行います。そのため、これらに関する時間とコストを省くことができます。
手軽に導入できる(お試しが簡単)
自社で開発するシステムとは違い、クラウドサービスは申し込み(登録)するだけでスピーディに使い始めることができます。しかも、大抵の場合は無料の試用期間が設けられているため、複数のサービスを試すことも簡単です。
試用期間中に料金やアプリケーションの使い勝手まで、十分吟味し、自社のニーズに合うと判断したシステムを正式に使い始めればいいので、導入までのハードルは非常に低くなります。
例えば、Staple (ステイプル)では、30日間の無料トライアルをご用意しておりますので、納得できるまで十分にお試し頂き、導入することが出来ます。
利用場所や利用端末を限定されない
クラウドサービスの大きな特徴は、オンラインならどこからでもアクセスできること。
パソコン、スマートフォン、タブレットなど使う端末の種類も限定されないうえに、どの端末でしか使えないといったこともありません。データもクラウド上に保存できるため、リモートワークに最適です。
管理コストを軽減できる
社内にサーバーを設置しなくてすむため、ハードウェアの故障トラブル、OSのアップデート、セキュリティ対策、システムのバージョン管理といった手間と運用コストを削減できます。
高度なスキルを持った専任の担当者の配置も不要になるため、その分の人件費も抑えられます。
ニーズに応じたコースを選択できる
目的や利用者の数に応じて、必要なメニューを選択したりアカウント数を調整できるのもクラウドサービスの魅力の1つです。必要なだけ追加し、不要なら停止するなど、規模やニーズに柔軟に対応できるため無駄がありません。
労働生産性が向上する
令和3年 総務省の情報通信白書「企業におけるクラウドサービスの利用動向」によれば、一部でもクラウドサービスを利用している企業の割合は68.7%だそうです。
また同情報通信白書内の「通信利用動向調査」では、2010年から2020年まで一貫してクラウドサービスを利用している事業者と利用していない事業者の労働生産性を比較した場合、利用している事業者の方が高いという報告があります。
クラウドサービスのデメリット
注目を集めるクラウドサービスですが、デメリットもあります。
きめ細かなカスタマイズが難しい
既成のシステムとして提供されるため、機能に限りがあります。また独自のカスタマイズはできないため、オーダーメイドで構築したシステムよりも自由度は下がります。
通信障害時の対策がない
クラウドサービスは、ネットワーク経由、特にインターネットの接続が可能でないと利用できないため、通信障害が発生するとサービスそのものを利用できなくなります。
無料で提供されているサービスの場合、提供元の都合でサービスが停止する場合もあり、その際データが失われても文句はいえません。
セキュリティ管理はサービス提供事業者頼みになる
クラウドサービスのセキュリティ管理は、すべてサービスを提供する事業者側で行われます。そのため、アカウントやデータ漏洩に対する対策もすべて事業者まかせになります。
とはいえ、メリットのほうが上回るのがクラウドサービスです。以上の点に留意しつつ、自社に最適なサービスを選択・運用することで、その恩恵を十分に受けることができるでしょう。
モバイル決済はクラウドサービスが主流
身近な事業者向けのクラウドサービスの1つに、キャシュレスなモバイル決済システムがあります。
モバイル決済とは、スマートフォンやスマートウォッチなどの端末をかざすだけで支払いが可能な決済サービスで、今では多くの店舗で利用できるのはご存知の通り。
新しくオープンしたばかりの小さな店舗でもキャッシュレス決済ができるのは、それらの決済サービスがクラウド化されたもので、申し込みをするだけで専用のカードリーダーが手配され、あとはインターネットさえあればすぐに使えるためです。
このようにクラウドサービスとして提供された決済システムを導入することは、利用者の満足度を高めながら事業をスピーディに展開するうえで、すでに当たり前の選択になっているといえます。
まとめ
クラウドサービスを長期間導入している企業では労働生産性が高まる、という報告をご紹介しましたが、導入している企業の約87%が「効果があった」と答えています。
テレワーク(リモートワーク)の面でも、2011年から2020年まで導入している事業者と導入していない事業者と比較した場合、導入している事業者のほうが労働生産性が高いという調査結果も報告されています。
時代的に、企業は従来型の通勤+オフィスという働き方から、リモートワークにシフトしたり、通勤とリモートワークのハイブリッド型を導入するところも増えています。
従業員の経費管理システムの見直しを迫られている企業では、働き方の大胆な変革と生産性の維持・向上を平行して進めるために、リモートワークとクラウドサービスという2つのキーワードは不可欠。
導入がスムーズで、すべてがオンラインで完結でき、なおかつMicrosoft Teamsとも連携できるクラウドサービス「Staple「ステイプル」」なら、そのニーズにお応えできます。